2019年08月24日

ひとりモンク

見聞きする人が思わずまゆをひそめてしまう様子を楽しむかのように,わざと思いっきり奇天烈な格好とか言動をとる人はいつの世にもいるものです。

<腰パン君>といって,ズボンを激しく下にずらして足が極端に短く見えるようにしたり,女子であれば<顔黒(ガングロ)>にしたり,風呂に入らず服も着替えず不潔こそベストと信奉する<汚ギャル>一味など。

普通の姿はそこそこ標準以上なのに,カッコ良さを追及せず,当然のひんしゅくをかうスタイルを好むあたりは,その年頃に特有な反抗や露悪趣味の発露なのかも。ただ,さすがに腰パンもガングロも汚ギャルも,流行ったのはごく短い間,いつのまにか消滅してしまいました。

セロニアス・モンクという一時代を築いたレジェンドのピアノを聴くたび,わざとカッコ悪く見せる腰パン君を思い出してしまうのです。

ここはこう来るだろうと思っていても思わせぶりに間をおいたり,ここは少し沈黙する所だろうとの期待に反して突然饒舌になったり,期待をサラリと裏切るところが面白く,そして飽きない。

変人のあだ名をちょうだいしましたが,ユーチューブに上がったライブを見ていると,自分のソロパートが終わると,やおら立ち上がり,次のソロを受け持つ,テナー奏者やベーシスト,ドラマーの演奏をじっと動かずに観察する姿は,異様というか不気味というか。引退前後に躁うつ病をやんでいたという噂もあったとか。

されど,ジャズプレイヤーとしては比較的長生きしたほうで,晩年は心優しい相方(配偶者)にも恵まれたようです。

私が好きな作品は,<ソロモンク>という,モンクのピアノソロだけで構成されたアルバムです。ラブソングを集めたものですが,全部がぜんぶ素晴らしい。モンクのオリジナル<ルビー・マイ・ディア(愛しのルビー)>は,誰を想って作ったものなのでしょうか?

◆ Thelonious Monk Ruby, My Dear https://www.youtube.com/watch?v=jymS_7zyy7c

2019.8.24 ひふみ
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2019年08月01日

共存

ネコのオスが子育てに参加することはまずないだろうというのが通説。我らが世代前後の無数の男子同様,そんなことは女子がするもんだと決めこんでいます。

されど,人とネコが共存することでよく知られる福岡の相島(あいのしま)では,外敵が現れるやいなや猛ダッシュして追い払ったり,人のオヤジ同様我が子を溺愛するイクメンならぬイクニャン君もいるそうです。

このイクニャン君は,ヨメニャン,ニャン子,ニャン太郎の四人(匹)家族。

ネコたちは海辺の廃屋などに自由すみつくことができるし,エサも島民や観光客などからふんだんに与えられるので,食と住に困ることはほとんどありません。なので,平和でのんびりしてるのかなと思いきや,年に何度かその時期がやってくるたび,子孫を残すための熾烈な争いが待ち構えています。

オスネコ同士はまず互いににらみ合い相手の器量を品定め。にらみ合う姿は開始のゴングが鳴る前のボクサーと変わりません。しかるに次に何が始まるのかと思っていると,腕力の強さを決めるための殴り合いや取っ組み合いではなく,なんとも奇妙な<鳴き合い>という声の出し比べ。

互いのうなり声にこもった気合や男気の熱量を競いあい,<負けた,勝てぬ>とさとって先に顔をそむけたほうが負け。他に挑んでくるオスネコがいなくなったら,終始その様子をながめていたメスネコの配偶者に決定するとか。

人のように一夫一婦という道徳律はもちろんないので,その都度,優勝劣敗という自然の掟に従った配偶者えらびが行われます。そのため,イクニャン君の相方であったヨメニャンも,その時になったらその定めに従わざるを得ません。

どこから見ても獰猛そうで強そうなデッカいクロネコ大王が,<オレにかかってくる根性のあるやつはおるか>とまず名乗りを上げました。まわりにいた何匹かのオスネコたちは,こわがって挑もうとしませんでしたが,元旦那のイクニャン君がチャレンジャーとして登場しました。

しかるに,クロネコ大王のドスが効いたうなり声に気合負けしてしまったのか,声すら発せぬままに顔をそむけてすごすごと退散してしまったのです。<ほかにかかってくるやつはおるか>と凄みをきかせると皆目をそらしてしまい挑戦者は見当たらず。じゃあオレのもんだなとばかりにヨメニャンにおおいかぶさろうとしたとき,一瞬のスキが。

ヨメニャンはクロネコ大王を振りきると,一目散に全速力で逃げまくりました。わき目もふらず向かったその先は,今しがたみじめに負けてしまったイクニャン君のもと。<わたしゃ,やっぱり,やさしくて子ぼんのうなあんたが一番イイ>と。それからまもなく子宝に恵まれたそうです。

イクニャン君のような家族思いのオスネコが出現したり,優勝劣敗の原則に反するヨメニャンの繁殖行為自体,きわめて例外的なことであり,もしかすると人と共存するうちに,その機微とか人情のようなものを自然と学んだのかも。でも,どこかホッとするものが。

(PS) 以上は,NHKの<ダーウィンが来た>で放映された内容の一部について,若干の私見も交え構成しました。あとで思い出しましたが,私の住む奈良では人と鹿が共存しています。もしかすると,イクニャン君みたいなイクバンビ君がいるのかもしれませんね。

2019.8.1 ひふみ
posted by Don and Mama Mind at 19:37| 周辺 | 更新情報をチェックする