2019年08月01日

共存

ネコのオスが子育てに参加することはまずないだろうというのが通説。我らが世代前後の無数の男子同様,そんなことは女子がするもんだと決めこんでいます。

されど,人とネコが共存することでよく知られる福岡の相島(あいのしま)では,外敵が現れるやいなや猛ダッシュして追い払ったり,人のオヤジ同様我が子を溺愛するイクメンならぬイクニャン君もいるそうです。

このイクニャン君は,ヨメニャン,ニャン子,ニャン太郎の四人(匹)家族。

ネコたちは海辺の廃屋などに自由すみつくことができるし,エサも島民や観光客などからふんだんに与えられるので,食と住に困ることはほとんどありません。なので,平和でのんびりしてるのかなと思いきや,年に何度かその時期がやってくるたび,子孫を残すための熾烈な争いが待ち構えています。

オスネコ同士はまず互いににらみ合い相手の器量を品定め。にらみ合う姿は開始のゴングが鳴る前のボクサーと変わりません。しかるに次に何が始まるのかと思っていると,腕力の強さを決めるための殴り合いや取っ組み合いではなく,なんとも奇妙な<鳴き合い>という声の出し比べ。

互いのうなり声にこもった気合や男気の熱量を競いあい,<負けた,勝てぬ>とさとって先に顔をそむけたほうが負け。他に挑んでくるオスネコがいなくなったら,終始その様子をながめていたメスネコの配偶者に決定するとか。

人のように一夫一婦という道徳律はもちろんないので,その都度,優勝劣敗という自然の掟に従った配偶者えらびが行われます。そのため,イクニャン君の相方であったヨメニャンも,その時になったらその定めに従わざるを得ません。

どこから見ても獰猛そうで強そうなデッカいクロネコ大王が,<オレにかかってくる根性のあるやつはおるか>とまず名乗りを上げました。まわりにいた何匹かのオスネコたちは,こわがって挑もうとしませんでしたが,元旦那のイクニャン君がチャレンジャーとして登場しました。

しかるに,クロネコ大王のドスが効いたうなり声に気合負けしてしまったのか,声すら発せぬままに顔をそむけてすごすごと退散してしまったのです。<ほかにかかってくるやつはおるか>と凄みをきかせると皆目をそらしてしまい挑戦者は見当たらず。じゃあオレのもんだなとばかりにヨメニャンにおおいかぶさろうとしたとき,一瞬のスキが。

ヨメニャンはクロネコ大王を振りきると,一目散に全速力で逃げまくりました。わき目もふらず向かったその先は,今しがたみじめに負けてしまったイクニャン君のもと。<わたしゃ,やっぱり,やさしくて子ぼんのうなあんたが一番イイ>と。それからまもなく子宝に恵まれたそうです。

イクニャン君のような家族思いのオスネコが出現したり,優勝劣敗の原則に反するヨメニャンの繁殖行為自体,きわめて例外的なことであり,もしかすると人と共存するうちに,その機微とか人情のようなものを自然と学んだのかも。でも,どこかホッとするものが。

(PS) 以上は,NHKの<ダーウィンが来た>で放映された内容の一部について,若干の私見も交え構成しました。あとで思い出しましたが,私の住む奈良では人と鹿が共存しています。もしかすると,イクニャン君みたいなイクバンビ君がいるのかもしれませんね。

2019.8.1 ひふみ
posted by Don and Mama Mind at 19:37| 周辺 | 更新情報をチェックする