2019年07月31日

ぬれぎぬ

笑えぬ笑い噺を一席。これ実話です。

家内と娘が近くの福祉センターのプールで水泳の練習をしているさなか,顔見知りの係員が少し難しそうな顔をしながら家内のほうに近寄ってきました。

声をひそめ,<あそこにいる警察の人が呼んでるみたいなんだけど,何かあったの?>と心配そうに耳打ちしたそうです。言われるままにその警官のもとへ行くと,

『実は携帯電話をなくしたとの通報があって調べている所ですが,携帯のGPSを追跡してみると,ご自宅あたりからこのセンターに向かったことがわかりました。センターに駐車している車のナンバーを照合したところ,所有するお車と一致しました。ついては,お話をおきかせ願えませんか』,とのこと。

はじめは何を言われているのか意図がわからなかったようですが,カンのよい家内は,<そういうことか!携帯をネコババした犯人と疑われておるんだな>とすぐ気づきました。猛烈にカチンときましたが気を取り直し,こうなりゃ潔白であることを証明したろやないか。

<今すぐ娘のプールバッグをここに持ってくるので気の済むまで調べてくださいな。ただし私の下着だけはご容赦願います>,もちろん携帯なんか出てくるはずはありません。それから水着の上からTシャツをはおり,<じゃあ次は私の車を見てみましょうか>と駐車した場所へ案内することに。

あばあさんとお母さんと思しき人がいたので,<あなたがお母さんですか,お子さんの番号で呼び出してみてください>,もちろん反応なし。警官は車の中をすみずみまでくまなく探してみても携帯のけの字も出てこない。<中だけじゃなく車の下もお調べになったらどうですか?>

おそらくは,自宅近辺の家と所有する車のナンバーをリストアップし,GPSの示すセンターの駐車場にリストアップした車(家内の乗っていった車)を発見したときは欣喜雀躍したはず。

これで状況証拠は全部揃ったな,ホシはここにおる,あとはブツさえ出てきたら御用だなと勇んで,やや上目線で家内を尋問していたのでしょうが,ぜんぶ空振りに終わってしまった。こまったなぁと思ってる所へ,別の警官から<またGPSが動き出しました。こことは別の場所です>,これが潔白を示す決定的な証拠に。

バツ悪そうに,<申し訳ありませんでした。気をつけてお帰りください>との謝罪があって一件落着。家内がその後,これしきのことに三人もがん首そろえた警官にイヤミの一つも言ったかどうかはわかりませんが,お母さんたちには<わたしの子が携帯をなくしたら同じようにするので,どうか気になさらないでください。はやく見つかるといいですね>と優しい言葉を。

推測ですが,私の家近くを散歩で通りがかった人が落ちていた携帯を拾い上げ,センター近辺に向かったのでしょう。どこかで一休みしてから<拾った携帯どうしようか,日も暮れることだし明日にしようか>などと思いながら,再び歩き出したのかもしれません。

もし次の日,<昨日は大変ご迷惑をおかけしました。おかげさまで拾われた方が署まで届けてくれました>,などと顛末を連絡してくれたなら,大いに見直してあげたい気もしますが,まあ望み薄でしょう,たぶん。

2019.7.31 どれみ
posted by Don and Mama Mind at 07:34| 競泳コラム | 更新情報をチェックする